加工のお話 ブラックサファイア

初加工日記掲載です。やっとです。お待たせいたしました。

勉強して少しづつでも読みやすいブログになるようがんばります。

さて、ブログを作成しようと思ったのは、2年くらい前です。

写真だけを撮り溜めて放置して有りました。

今日ご紹介する内容は、唯一文章を作成してあったものです。せっかくなので手直ししないまま載せてしまおう。

磨きなおし

磨きなおしの御依頼です。
お話をいただいたときには「海外で購入したファイブスター(石名)を枠から外さず磨きたい」との事でした。
う~ん、困った、、、
①ファイブスターって何?
②枠に付いたままだと上手く磨けない→綺麗に仕上がらない。
    なんて説明しようかな。

早々に脱線しますが、一般の方とメールのやり取りをするとき一番困るのが、言葉の使い方です。普段使っている言葉が一般的で無い事が多く、代替の言葉もなかなか思いつかないのです。
形1つとっても、OVカボはオーバルのカボション。オーバルは楕円形とか小判型とか書けるけどカボションって?山とかぷっくりつるっとした感じとかで解るのか?
PSはペアシェイプ、つゆ型。カボションもシングル、ダブル。ドロップの場合もあるし。
などなど。(形に関しては図入りの一覧表を片山が作成中です。)

話をもどして
①ファイブスターって言う位だから5条のスターが出るのでしょう。が、5条って何?
結晶系によって1条4条6条のスターが出るのですが、五方晶系なんて聞いた事ない。
海外で購入というところが怪しい(失礼な言い方ですよね。すみません)。勝手に名前を付けるし天然石かどうかも怪しいなあと。


石によって加工方法が違い、リカットをお勧めしない石、お断りする石があります。
石種がはっきりしていないと手を付けたけど上手く仕上がらなかった、なんて事がおこります。
「プロなんだから見れば解るだろう」と思われるかも知れませんが、研摩のプロであっても鑑別のプロでは無いのです、、、多分この石だろうとは思いますがカットされている石は解りにくいです。
写真を送ってもらったのですが、表面の傷が多すぎてスターは判別できず黒い石という以外は解りませんでした。

②枠に留まっている石は枠が邪魔をして上手く磨けません。
研摩機材が平面板なので機械が石全体にあたらないのです。加工した部分としない部分は艶が違うだけでなくエッジが立って境界線のようにスジが入ってしまいます。

枠から石を外して磨くのが一番良いのですが、外すときの圧力で石が割れてしまう事があります。4本爪の枠の場合比較的外し易いのですが、今回のような一周巻いているような爪は、枠もだめになってしまいます。
このようなタイプのリングを綺麗に仕上げるのは、爪を切って石を外し、爪を作り直す、場合によっては石枠を交換する、です。

という事で、難しい今回の加工依頼には
「石種が解らないのでもしかしたら上手く艶が出ないかもしれませんし、加工した部分としない部分の差がはっきり出てしまいますがそれでもよろしければお送り下さい」とメールしました。。

こんな不確かな返答ではキャンセルかなあ、、と思いましたが送ってくれました。有難うございます。

実物を見た感想は「やっぱり良く解らない、、、」でした。
ルースの判断をするとき、照りや、光の反射を見るのですが、表面が荒れすぎていました。スポットライトを当ててもスターは出ないし、、、重さはリングについているから解らない。

bsaf1.jpg

黒いカボションのスター石にはブラックスターサファイア、シリマナイト、エンスタタイトなどが有ります。シリマナイトやエンスタタイトは癖のある石なのでリカットに向きません。現状より悪化する可能性もあります。

今回加工に踏み切った決め手は、枠でした。
傷の付き方や、温度や手触りから多分サファイアかなとは思いましたが、枠がプラチナだったのです。最近では珍しい位たっぷり贅沢にプラチナを使ってありました。こんなに贅沢なリングなのだからブラックスターサファイアだろう!!と。

で、仕上がりはこの写真です。

bsaf3.jpg
磨くのには5段階位の加工をするのですが、一度艶を消して傷をとり、だんだん研磨剤を細かくして磨いていくという写真では変化が解りにくい加工なので途中経過は省きました。

艶が戻り見事なスターが出ました。ファイブスターって名前がかっこいいのにスターはやはり6条でした。

石を磨くとき枠にも機材があたるので、枠(爪部分)も一緒に艶が出ています。

正面写真を見比べると一目瞭然ですね。

bsaf4.jpg

今回幸運だったのは、爪が石の山の角度に沿ってかかっており磨くときにあまり干渉しなかった事です。機材が当たり易く、すその方まで磨けたので境も解りにくく綺麗に仕上がったと思います。(写真は加工前です)

bsaf2.jpg

リングに石が付いたまま磨きなおしたい、と思われているお客様の参考になったでしょうか?

4本爪の場合の加工もそのうちご紹介しますね。

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